児玉雨子 -KODAMA Ameko-

KODAMA AMEKO
since 2011/12/20/23:43

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【制作秘話】「いつかお姫様が(feat.クインセ)」

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コピンク*楽曲である『いつかお姫様が』が、クインセこと荻野可鈴さんの所属する夢みるアドレセンス新ミニアルバム『純情マリオネット』に収録され、ミニアルバム発売から一週間が経ちました。

またこのアルバムは、発売前日フラゲ日の2013.11.25のオリコンアルバムデイリーでは四位を頂きました。

何かとおめでたいので、現Juice=Juiceの宮本佳林ちゃんのコピンク卒業と『コピンクス!メロディーズ~star chart~』の発売に合わせて書いていたこの制作秘話も復活させました。

この楽曲はさりげない裏話が結構多いですよ。

夢アドリリイベ全日程が終了し、これから各楽曲をじっくり聴かれる方々もいらっしゃるのではないのでしょうか。
初めましての方もお久しぶりの方も、この記事を読んで、曲も荻野可鈴さんも夢みるアドレセンスも、そしてコピンク*のことをもっと好きになってもらえたら嬉しいです。

※タイトル表記は一応、ここではコピンク*曲としても取扱いますので「feat.クインセ」を着けておりますが、アルバムでは荻野可鈴ソロ曲『いつかお姫様が』として収録されています。

 

・Someday The Princess Will Come

『いつかお姫様が』には実は英題も決めてあり、上記の「Someday The Princess Will Come」がそれです。まぁあんまり使うことはないかと思いますが…この英題を見てピンと来た方もいるかもしれません。

映画『白雪姫』の劇中歌であり、言わずと知れた名曲「Someday My Prince Will Come(邦題:いつか王子様が)」のタイトルオマージュなのです。

というのも実は、この『いつかお姫様が』を歌ってくれたクインセこと荻野可鈴さんがあの世界的なねずみちゃん達(笑)の大ファンだそうです。
そんな荻野さんのソロ曲は、まさにプリンセスのような、お砂糖とスパイスと素敵な何かでできてるような詞がいいな~と思いながら、依田さんの作られたデモを聴くと…どあたまのティンパニーからもう「これぞまさに!」で、コピンク*アルバム発売以降第一発目コピンク*曲が超新鮮で涙出そうになりました。
イントロ~Aメロの「これから何か始まるぞ」感がたまらないし、Bメロのありったけの切なさ、サビの良い意味で胸が苦しくなる高音、Dメロの何か心の底から叫び出しそうなメロディ……依田さんのコピンク*曲の一番良いとこ取りな曲だと、私は勝手にそう思っています。この曲のまだ声と歌詞が入っていない音源、未だに普通に聴いています。

毎回依田さんがものすごい曲を作って下さる反面、毎回「この曲を台無しにしてしまうんじゃないか」とものすごく不安になりながら詞を書いていたのですが、今回は不思議とあまり怯えず迷いもなくグワーっと書けました。『いつ姫』を作るちょっと前から荻野可鈴ちゃんとお話しする機会を頂き、彼女の姿がぼんやり見えてきていたおかげかもしれません。

あっと言う間に詞ができて、コピンクPも一発OKで、今までで一番早く出来たイメージがあります。早く出来た、というと語弊があるかもしれませんが、なんとなく、歯車がしっかり噛みあった感覚がしました。前コピンクちゃんもそうだけど、荻野さんにも依田さんの曲がとっても合いますね。

さて当楽曲の名曲『いつか王子様が』リスペクトのお話に戻りますが、これはタイトルだけに留まっていないのです。
実は配信用のジャケ写も、アートワークを担当されている10GAUGEさんが、コピンクらしさを残しつつ、お伽噺的な要素を取り入れたイメージを作って下さりました。

すっごくかわいいですよね!
コピンクらしさがちゃんとあるところも、キャラの可愛さも、何もかも素敵すぎます。配信用だけのイメージだなんて贅沢ですよね!

 

そして、名曲リスペクトはもう一つあります。

振付師の竹中夏海先生がこの曲に振り付けをして下さったのですが…

もう既にライブやライブ動画を見て下さっている方はご存知かもしれませんが、この曲の間奏部分。なんと「有名プリンセス達が不幸な場面」をイメージされているそうです。しかも一番最後は、毒林檎を食べてしまうあのお姫様。毒にやられて倒れてしまってから、Dメロの「ひとり流す涙まで~」と繋がっていく演出なんて、実際ライブで観たときこちらが卒倒しそうでした。

何より驚きなのが、竹中先生にはこの曲のタイトルオマージュのことはお伝えしていなかったんですよ! 偶然というか、なんというか……。

ミュージカルみたいな竹中先生ワールドが大好きだったので、この『いつ姫』にこれでもかってほど素敵な振り付けをつけて下さり感無量です。

曲も詞も振付も、形を持たず手に取って触れられないものだけど、だからこそ賞味期限がない。どの曲も互いを比べられない宝物ですが、私にとってこの曲も宝物です。荻野可鈴さんにとっても、そして聴いて下さった方にも宝物だと本当に嬉しいです。

 

 

・初披露の場

この『いつかお姫様が』、振り付けを含めた初披露は夢みるアドレセンス定期公演でしたが、配信前に音源としての初出しはなんとラジオでした。
プロインタビュアーの吉田豪さんが隔週で出演されているbayFM「with you」という番組での初披露でしたが、このオンエアにも面白いお話がありました。
もともと楽曲ができてから、上記(と後述)の色々な良いエピソードがあったので色んな方に一回でも良いから聴いてほしくて、色んな方に音源を押し付けまくっていたのです。
そんな中、番組生放送の数時間前に豪さんから「あれ流していい?」みたいなとってもラフなご連絡を頂き(笑)、即コピンクPと夢アドプロデューサーさんに連絡でこちら側はもう告知やらなんやらでてんやわんやして、無事番組オンエアとなりました。『コピンクス!メロディーズ』に収録されている『カリーナノッテ』も流して頂きましたね。

荻野さんの「コピンクス!」でのキャラであるクインセについてだけでなく、コピンクちゃんのことについても触れて下さり、豪さんには本当に感謝しています。

今回のこのラジオでの初披露の例のように、ひとつの曲のために色んな方が愛情を以って動いてくれるなんて、本当に『いつ姫』は愛されっ子だなぁ……と目が細くなります。

『いつ姫』だけでなくコピンク*曲はどれも愛されっ子で、親心(と言える立場か微妙ですが)にいつも幸せで感謝しかありません。

 

 

・荻野可鈴とクインセ

『いつかお姫様が』は、夢みるアドレセンス内では荻野可鈴ソロ曲で、コピンク*内ではfeat.クインセとして扱われています。
「クインセ」とは「カリン」という植物の学名に由来していますが、どうして荻野可鈴さんが二代目コピンクじゃなくて「クインセ」なのか。
これは現在制作中であるオーディオドラマ『コピンクス!ストーリーズ~star chat~』でも大きなテーマのひとつです。

なのでここではあまり書きませんが、決してマイナスな意味で彼女を二代目コピンクにしなかったということはご理解頂きたいです。
安直に「コピンク」ではない子を「二代目コピンク」にさせるのは、違いますよね。
「初代コピンク」や「クインセ」に居たように、「二代目コピンク」にも、運命的な、このひとしかいない!というような、そんな女の子がきっときっと居るはず……。そういった想いがあり、現在コピンク不在のコピンクス!で楽曲やオーディオドラマを作らせてもらっています。

さて、荻野可鈴さんはご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、歌手である前にモデルさんなんです。現在はハイティーン向け青文字系雑誌の専属モデルで、『いつ姫』を作る前まではローティーン向け雑誌のモデルさんでした。
もともと夢みるアドレセンスはそういったモデルさんを中心に集めたグループですが、彼女はその中でも最年長でありリーダーであり、同年代の女の子からの知名度も高い。なんたって、前コピンクちゃんが普通に荻野さんのファンだったんですから!

そんな荻野さんは誰よりも「オンナノコ」。まさに、モデル。

モデルさんは女の子たちの憧れの的。荻野さんはお世辞じゃなくビジュアルに非の打ちどころがありません。脚は細いし目はぱっちりくっきり、二重の幅も広くて鼻はつんとしていて、声は高く甘くて、神様が荻野さんを作るときに本気出し過ぎましたよ。
彼女のことを「まさにオンナノコ!」だと思うのは、そんなに恵まれた容姿を持っている上に、非常に繊細な心の持ち主だなぁと感じるからです。

彼女はあれだけ可愛いのに自分に自信がないようで、いつも傷つかないように傷つかないように自分を守っている。それだけ可愛けりゃ歯に青のりついてようが可愛くなるだろ!って思うのですが……。
傷つきたくないがゆえに人一倍努力家で、この『いつかお姫様が』をひとりで歌うことが決まってから、自分からボイトレに通ってレコーディングに臨んでくれました。それだけでなく、ダンスも竹中先生のお墨つき。ステージ上の彼女のパフォーマンスは表情だけでなく指先まで、それこそ四分間の物語を生きる大ヒロイン。「歌に自信がない」と言っていても、影ながらこうして仕事の合間を縫って苦手を克服しようとし、それまで本業ではなかったであろうダンスやパフォーマンスにも努力を欠かさない、物事に対して非常に真摯なひとです。
またその反面、かなり不器用で色々と考え込んでしまう姿は、苦労してきたんだろうなぁと少し胸が狭くなります。じっさい、彼女はローティーン誌専属モデル時代では「苦労人」と呼ばれていたそうです。なんでも初登場時から表紙デビューまでの年数が歴代で最も多かったとか。

彼女は今18歳で、若いけれどそれほど子どもじゃない。それなりの経歴と経験があるからこそ、そんな性格なのかもしれません。

でも、ここまで鼻高々に語っておいて、私は本当の意味で彼女を100%理解しているかと言われると、正直自信がありません。彼女と出会ってからたった約一年。必死に汗水垂らしている姿なんて、そう簡単には見せてくれません!(笑)

完成された状態で私達の前に立とうとするところが、プロですよね。

そんな荻野さんに関してあれこれ考えてみて、この『いつ姫』には宛書きの歌詞を書いたのですが、また更に面白い出来事が。
配信後に予備校時代の友人がこの曲を聴いてくれたそうで、「曲聴いた。私のことを詞にしたでしょ!!!!!!めっちゃどきってしたわ!!!!!!私の人生パクんないでよ!!!!!!笑」(原文ママ)ってメールしてきました。
だ~れがあんたの人生パクるか!!自意識過剰か!!!とか思ったりしましたが(笑)、ふと冷静に考えてみると、これこそ荻野さんが「オンナノコ」を体現していることになりませんか?

荻野さんについて書いた詞に、全然関係ない子が共感している。もちろん、詞を書いているときその友人のことなんてこれっっっぽっちも頭にありませんでしたが、「オンナノコ」の荻野可鈴だからこそ、そんなエピソードが生まれたのかなぁと思っています。

彼女はモデルであり、みんなの憧れの的でありながらも、誰かに憧れ、嫉妬し、そんな自分を嫌ってしまったり、悩んでいるのかもしれません。みんなそうかもしれないけれど、荻野可鈴は特に、特に特に特に、いつか解けてしまうとわかっているメイクや服、ステージに降り注ぐ目映いライトの魔法にかかりながら、すっぴんの自分から目を背けたり向き合ったりする、ひとりの女の子なんでしょうね。

恵まれ過ぎた容姿だけでなく、類まれな才能を持った荻野さんのソロ曲に、詞を書かせてもらえて嬉しかったです。

 

いつものことながら、長文にお付き合い頂きありがとうございました。

『いつかお姫様が』が収録された夢みるアドレセンス2ndミニアルバム『純情マリオネット』は、全国のCDショップまたはAmazon等々で好評発売中です。

 

 

2013年12月3日