【小説】短編「凸撃」(『文藝 2021夏季号』掲載)
2021/04/08発売の『文藝2021年夏季号』に、短編小説「凸撃」が掲載されます。
春季号に続いての掲載は素直に嬉しいです。
そして本作は、数年前に別の文芸誌でオファーがあったものの、掲載叶わず眠らせていた長編を改稿したものです。その後、とりあえず作詞に専念し、どうしてもまた書きたくなれば商業等関係なく書けばいい、それが本来の〈物語〉であり〈小説〉だと思い、一度は熱心に書くのをやめた時期があります。「語ってください」と依頼されるのではなく「いいから読んで、聞いてくれ」と語り出してしまうもののはずです。
個人的には思想面で主人公の語ることすべてに賛同していない、むしろ反論はいくらでもできます。それでも物語は作者の思想を書くものではなく、独立した世界であるべきとして書きました。
不思議なのは、当初はこれさえ書ければもういい、いや、もうこの他に何も出てこないとまで思っていたのに、書き終わったらまた別の物語を書こうとしていることです。よしあしはわかりませんが、また発表できるようがんばります。
河出書房新社の担当編集者へはもちろん、この作品の前編集者へこの場を借りて御礼申し上げます。短いものですので、ぜひお気軽に読んでください。
2021年4月12日