児玉雨子 -KODAMA Ameko-

KODAMA AMEKO
since 2011/12/20/23:43

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【制作秘話1】「カリーナノッテ」

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キラキラ 光る街 駆け抜けて
ときめく 思いを 胸に秘めて

 

本当は、これは私が考えたフレーズではありません。作曲を担当して下さった依田伸隆さんが、番組オープニング用のワンフレーズのために書いたものです。
カリーナノッテは、最初からひとつの曲として生まれたものではありません。番組オープニング用の三十秒間だけのメロディとして生まれて、そこからみなさんのおかげで曲にさせてもらえました。

 

 

・三十秒間の魔法少女

依田さんは、単純に番組オープニング用のメロディを作ったそうです。そこに一曲まるまる作るってことを予想も期待もしていなかったそうで。今みたいにコピンクちゃんのストーリーを作るとかも、最初は誰も何も考えていませんでした。

コピンクちゃんの曲は一人の少女の物語として今はスタッフみんなで仕掛けを考えたりしていますが、そのきっかけとなった番組オープニング用の三十秒版カリーナノッテは、ただの少女ではなく「魔法少女」のイメージで作られたそうです。

フルには消えてしまった番組オープニング用の「大空に~」の箇所も、元々は全然違う歌詞を書かれていたそうで、「始まりと終わりの合図を」というフレーズが本当に本当に生まれたてのカリーナノッテにはあったそうです。「終わりの合図」は、まだ始まったばかりの番組にはあまりふさわしくない、という意見もあり、「大空に~」とオープニング用の歌詞がリライトされました。
これは全部、コピンク*楽曲プロジェクトが終わったあとに依田さんから聞いたのですが、「始まりと終わりの合図」ってなんだか「リバース」みたいですね。

そんな過程を経て生み出された三十秒版カリーナノッテが放送されてから五ヶ月後、小説家志望で受験生で高校生だった私の前にやってきてくださったのが、私が中学生の頃からご縁のあったその番組プロデューサーさん。「歌い手さんと近い高校生だからこそ書ける歌詞を、このフレーズを中心に書かないか」とのお話を下さいました。おかげでコピンク*楽曲の歌詞を担当することに至りました。

「なにこのヤバそうな歌詞」「無理無理私こうゆうの無理嫌い」っていうのがその時の正直な感想です。ラッキーワードだか知らないけどキラキラとかヤバイ。ときめく思い胸に秘めてるのとかヤバイ。十代の女の子そんなかわいいもんじゃないとか思っていました。今じゃキラキラした女の子が大好きで大好きでたまらないんですけどね。

フルの歌詞を書くのに、まだ一曲分のメロディはありませんでした。というのも、フルとしてレコチョクさんで先行配信する日をコピンクちゃんの誕生日(12/1)に合わせよう!と決まってから、メロディが出来上がってから歌詞を書く、のでは間に合わないからでした。
なので詞と曲とがほぼ同時進行に作られていました。他の作曲家さんにこのお話をしたら、そんなこと普通ありえないって驚かれるくらい、変わったやり方をしました。
私の話をさせてもらうと、先ほどあったように「キラキラ 光る街 駆け抜けて ときめく 思いを胸に秘めて」を頭に持ってきて、そこから私が内心笑いながらあまーーい歌詞を考えていました。でも依田さんがその歌詞に音をつけて曲として送ってくださったとき、嘘みたいにかわいい曲になっていて、プロの方々とご一緒させてもらっていること自体光栄なのに、一番最初笑っていた自分が恥ずかしかったです。

もともと構成を決めたりする上で先に作曲はしていたそうですが、そこに突然フルの歌詞をボン、と出してしまっていたので、なんか申し訳ないです。

どんどんどんどん曲の音が、生バイオリンや生ドラムでいきいきしていくのは本当に怖いくらい豪華になっていくなぁ…って、次々に送られてくるmp3のデータが本当に面白くて、面白いっていうか、何もしてないからこそ言えるのかもしれませんがすごく楽しそうだなーって。
依田さんも番組プロデューサーさんのおかげで生の音を入れることができて嬉しいって仰っていて、聴いて下さった方々も音が好きと言って下さるのは、こんないいことってないですよね。

最初は単純に恋愛の歌だったけど、この歌詞だったら「鏡の向こうのあなた」は「私」になる。歌詞の編集も含めて、ほとんど依田さんのおかげです。「私ならもっともっとできるでしょう?」とか、「つんざく憧れはもう遠くて」「本当の私見ないで」「本当は魔法なんてないから」とか、ここだけは残してほしいなって部分は全部使って下さっていました。逆に言えば、正直間に合わせるために書いた、あまり思い入れのないフレーズは曲として完成したときには跡形もなくなくなっていました。
最初の三十秒版カリーナノッテの魔法少女の物語というより、四分三十秒版カリーナノッテは魔法をかけられる少女の物語になっていったのは、あまりみんながガチガチに設定を決めないまま進めていった中で、一番最初に立ち会っている番組プロデューサーさんや依田さんからしてみれば不思議な感じがしますよね。もしかしたら番組プロデューサーさんはかなり設定やストーリーを決めていたのかもしれませんが。
私もそこまで伏線を張ろうとかは意図していなかったので(意図できるほどでもないので)ミニアルバム通して聴くと面白いです。

もともと依田さんは10GAUGEという制作会社の方で、数々のアニメや広告用の映像やビジュアルを担当されてきました。依田さん自身もアニメに詳しくて、アニソンっぽいのを今回から作れて嬉しかったと仰っていました。あと周りが若い女の子だらけで嬉しかったらしいです(笑)
そもそもこれがコピンクちゃんの歌の始まりであって、みんなが色々とスタートできた曲っていいですよね。

 

 

・配信について

カリーナノッテの配信に関しては、先ほども触れましたが、まずレコチョクさんの先行配信の日を、佳林ちゃんの13歳の誕生日(12/1)に合わせようとスタッフのみんなで頑張っていました。配信日の関係で前日の11/30になりましたが、ある意味、みんなからコピンクちゃんへの誕生日プレゼントにならないかなぁって話していました。

その後の正式な配信日は、たまたまコピンクちゃんの誕生日と同月であったのもあり、私の誕生日の12/21に合わせていただいて、素直に嬉しかったです。誕生日にそこまでこだわりはないのですが、やっぱりそうして粋な演出をしてくださったスタッフの皆様には感謝しています。
コピンク*の話題のきっかけとなったamazonMP3ランキングについてですが、告知用に各配信会社さんを教えてもらったときに、amazonが楽曲配信をしていることを初めて知りました。いつもネットで買い物しているところでみんなの作品が商品として並ぶって考えると感慨深かったです。それだけで嬉しかったのに、ランキングにコピンク*(当時はコピンク名義)っていう名前があがってきて、それをきっかけにいくつかのニュースサイトさんにコピンク*について取り上げてもらえたり…カリーナノッテは魔法がかかっている曲だと仰ってくれる方も中にはいましたが、本当は魔法なんてないから。だって、聴いて下さったみなさまの支えがあってこそのコピンク*です。感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。

 

 

・タイトルについて

カリーナノッテというタイトルは、とにかくかわいい言葉を探していました。
そもそもコピンクス!は深夜枠の番組だから、「夜」はどこかしらに入れなきゃって、わりと安直に考えていました。
「夜」って漢字で書くとあんまりアニソンぽくないから、ナイトかノーチェかナハトかノッテ。この中で一番かわいいのはイタリア語のノッテ。じゃあ○○ノッテ!
そうなったので、イタリア語でまた響きがかわいくて意味も通った言葉を探していた中で、「素敵な、かわいい」という意味の「carrina」という単語を知ったので、じゃあそれにしようと。名前と語感が少し似ていたので、最初はカリンナノッテ。でも色々と大人の事情で(笑)、最終的にタイトルをカリーナノッテにしました。
こうして、偶然イタリア語のタイトルになったことから、3/2のスペシャルライブで配布したエピソード”0”の続きの物語として、その後コピンクたちの地図を作ってストーリーをえがいていきました。どんな地図かは、これからもコピンクス!でもその続きをえがいていきますのでお楽しみに。

他の曲は意図してつけたタイトルもあるので、またこんな感じでゆるくタイトル決めてみたいです。「かわいいからこれがいい」「かっこいいからこれ」「なんかおしゃれ」みたいな感じで、全部やってみるのも良い事なのかもしれないですね。こうゆう偶然がやってきてくれると、何にしても楽しいです。
でも今こうやって思い出してみると、カリンナノッテってちょっと…なぁ…。

 

 

・polaris mix

polaris mixでは、せっかく一巡した物語なんだから、一番最初の「キラキラ 光る街 駆け抜けて ときめく思いを胸に秘めて」から後の歌詞を全部変えてみたい気持ちもありました。「鏡の向こうの私は まだまだ夢見る女の子」みたいな。それはもろもろの事情もあり、間奏後からの歌詞だけを変えることになりました。
ストーリー上の設定で、リバースではインドあたりのイメージをしていました。そこでpolaris mixのお話も進んでいましたので、間奏も少しだけアジアンテイストが加わっていてかわいいですよね。

カリーナノッテからいろんな曲を経て成長したコピンクちゃんのことを、少しだけでもみなさんに気づいてほしくて、後半の一部分だけを書き直しました。
polaris mixの歌詞は、アルバムの歌詞カードには「ちゃんと気づいて」とあるところが、実際の曲では「ねぇ気づいて」と唄われています。お気づきになった方もいて、混乱させてしまったかもしれません。

これは私のわがままで、私は「ちゃんと」派だったのですが、実際のレコーディングに行ってみて「ねぇ」の方が歌い手さんの魅力が出るねって話になりました。彼女は声量があって声もきれいなので、歌詞を少なくして伸ばしたほうが活きることを前々からお話ししていました。なので現場で文字数の少ない「ねぇ」と歌詞を変更しましたが、私はそれでも、「ちゃんと気づいて」にしてほしかったことをスタッフさんにお伝えしたところ、歌詞表記上と実際の歌唱に違いを持たせることに快諾してくださりました。私なんかが我を通してしまって、混乱させてしまってすみません。

ちなみに、なぜポラリスなのか、私にはわかりません(笑)
私や依田さんがつけたものではなくて、番組プロデューサーさんがつけられたサブタイトルだからです。わかりませんというか、本意や真意はやっぱり本人のみぞ知るっていうのはあると思うので…。
北極星はくるくる回る星の中心にいるっていうのが由来みたいですが、すごいですね、私はあんまりそうやって出来上がっているものを繋げることができないので、その発想を生み出すセンスがほしいです。コピンクちゃんも、いつかそんなスターになってほしいという私達の応援の気持ちも表現されていますしね。

 

 

・コピンクちゃん

 

コピンクちゃんは本当にかわいいです。誰が何を言おうとかわいいです。
見た目はもちろんですけど、なにげない仕草も話す言葉もいちいちかわいいです。
そして歌が上手くて、今までいろんな有名なアイドルや歌手のレコーディングに立ち会ってきたスタッフさんが、いつもいつも大絶賛していて、しかも本当にすごいとみんな「うまいね~!」みたいに言わないんですね。「……うま…」ってみんなことあるごとに呟いていました。
でもこんな才能ある子だって、お仕事やレッスンがない日は普通に学校に通って宿題やったやっていないとか、そんな日常があるから不思議で不思議で仕方ありません。
毎日綿菓子を食べて生きてるんじゃないかってぐらいの、とてつもないかわいいオーラがとめどなく放出されているんです。

彼女は、本当に砂糖とスパイスと素敵なものだけで出来ているんじゃないかって思わせるんです。

なのに、普通の子と同じようにいろんなことを小さな体で悩んだりしていたり、結構真剣な顔してごはんを食べているのを見ると、同じ人間なんだね、って安心します。

もちろん彼女だけじゃなく、制作で関わったみなさんがそれぞれの分野の天才みたいな人ばかりで、才能の塊みたいな人って本当にいるんだなーって、このカリーナノッテから始まったコピンク*楽曲プロジェクトに入れてもらえて感じました。
しかも、そんな方々が作った楽曲をたくさんの方に聴いていただけて、もう、「嬉しい」って言い過ぎて伝わらないです。「嬉しい」ってもう使い飽きたので新しい言葉作りたいです。それぐらい、嬉しかったです。
これから一曲ずつ、こんな感じで不定期に制作秘話を更新していきます。よろしくお願いします!

『カリーナノッテ』、『カリーナノッテpolaris mix』が収録されている『コピンクス!メロディーズ~star chart~』は、アップフロントワークスより2013年3月20日から販売予定です。

2013年3月4日